| 「TOKYO  DESIGNERS  WEEK  2014」の特別企画、「北斎漫画インスパイア展」に
 青木克憲氏との連名で作品を出品しました。
 この展覧会は〈現代の文化にも大きな影響を及ぼした歴史上の芸術家達の作品にインスパイアされたクリエイター達が
 作品を発表する、過去と現代のクリエイターを結ぶ企画展〉とのこと。
 「そのお題が、今年は葛飾北斎の北斎漫画なんだけど、北斎漫画をカミロボで表現できるだろうか?」
 と青木氏から打診を受けて作品を作った、というのが
  今回の話の流れです。    ★     ★     ★ 北斎漫画とは、江戸後期の浮世絵師、葛飾北斎が絵手本として発行したスケッチ画集のこと。
 内容的には、人物、風俗、動植物、妖怪変化まで約400図が描かれていて、
 北斎はこの絵の事を「気の向くままに漫然と描いた画」と呼んだそうです。
 さて、そんな北斎漫画をカミロボで表現する事になったのですが、僕は普段からカミロボの事を
 「立体の落書き」と表現しているので、
 立体造形に対しての素描スケッチ的な姿勢を表現する事で
 北斎漫画インスパイアというスタンスを表してみようか、と、
 そんなコンセプトで進めることにしました。
  ★     ★     ★
 が、しかし… いざ手を動かしてみるとなかなかコレといった表現に行き着くことができず
 かなりの試行錯誤を重ねてしまう事に…
 (ツラかった話は省略…)
 そして、数々の失敗を乗り越えて最終的に完成したのが右の画像になります。
 
  (クリックで拡大できます) 50センチサイズで5体制作しました。 今回、新たに編み出した造形法が、「ダンボールを手でちぎって糊で貼り付けながら
 ちぎり絵の要領で立体を作っていく」というもの。
 北斎漫画の特徴である人体のナマっぽいS字ラインを表現する事と
 素描スケッチ的な「造形の即興性」を得るために、
 
  この造形法に行き着きました。 「ダンボールをちぎっては貼り、ちぎっては貼り」という作業は粘土を使って彫塑をしている感覚に近く、
 ちぎったダンボールが断面の隙間もろとも
 メチャクチャに積み重なっていく事で、
 立体に「雑音の層」を感じるというか、
 「三次元にラフなアタリの線を引いている」ような
 ノイズ感があると言うか…
 うまく言えないのだけど
  「空間に立体をスケッチしている」ような、 新鮮な感覚がありました。
 ただ、「これはカミロボなのか?」というカテゴライズ的な問題が気になるのだけど、
 自分自身は「これもカミロボ」と
 かなり自然に思うことができているので、
 まぁそれが答えなんじゃないか、と思っています。
    ★     ★     ★ あ、そう言えば「カミロボ」という言葉のカテゴライズと言うか、
 言葉の意味の話でひとつ思い出したぞ。
 ずいぶん前に子供向けのワークショップをした際に地元の新聞社さんの取材を受けた事があるのだけど、
 取材が終わってから3時間後くらいに
 再びその記者さんが現れて
 「今回の記事を書くにあたって、安居さんの工作をカミロボと表記しなくても良いですか?」
 と言い出したのです。 言われている意味がよく分からなかったので詳しく聞いてみると、
 「取材内容を上司に報告したところ、上司が『ロボットってのはコンピューターとかモーターで動くものなんだから、
 その工作はロボットじゃなくて紙人形と表記しなくてはダメだ』と言ったので、
 つきましては、この記事ではカミロボという言葉は使わずに
 " 安居さんの紙人形 " と表記したいのですが」
 という申し出だったのでした… うわぁ…マジか… 記者さん真顔やし… まぁ、こちらとしてもその上司の発言をきっかけに30年以上使い続けてきた名称を
 変更するわけにもいかないので(笑)
 「この作風で作っている立体物はカミロボと名付けて発表しているので
 作品名は正しくカミロボと表記していただいて、
 その内容を説明するにあたっては
 紙人形でも紙工作でも、ご自由に分かりやすく表現してください」
 と答えたのでした… …とまぁ、そんな事もあったり、今回も「北斎」の「ロボット」ではないのだけど
 「北斎カミロボ」と名付けていたり、
 そういう事が往々にしてあるので
 ここらで僕も自分の中の「ロボ」という言葉の意味、
 概念を、正しく説明しておく必要があるのではないかと思ったので
 ここに書かせていただきます。
 いろいろ思い返してみると、僕が言っている「ロボ」とは、どうやら「人」の事のようです。
 しかも「奇抜な人」と表現すると、さらにしっくり来ます。 うん。「ロボとは、奇抜な人」です。    ★     ★     ★ というワケで告知です。 TOKYO DESIGNERS WEEK 北斎漫画インスパイア展会期:2014年10月25日(土)〜11月3日(月・祝)
 会場:明治神宮外苑絵画館前(中央会場)
 http://www.tdwa.com
 北斎カミロボの実物と青木克憲氏制作による北斎カミロボのポスターを展示します。
 是非ご来場下さい。 |