友人Tと飲んでいた時の話。
友人Tはいわゆるサブカル通として、
アニメ、マンガ、特撮から洋画、邦画、その周辺などについて
相当な知識を持っている事で
仲間内でも一目置かれている人物。
よく分からない事があったら、
キーワードを伝えるとペラペラッと
すごい勢いでいろいろ深い事を教えてくれるので、
僕なんかは「人間インターネット」と呼んで
度々お世話になっている、
そんなTと久々に飲んでいた時の事。
話の流れで(なぜか)シメサバの話題になった時、
関西ではシメサバを○○○と呼ぶ、と彼に伝えたかったのに、
その○○○が急に出てこなくなった。
ド忘れというヤツだ。
「え〜と、シメサバ。なんだっけ…ほら」
その時、Tがふいに話し始めた。
「あぁ、歳のせいか、オレも最近ド忘れが多いよ。
主演映画の作品名は全部出てきて顔も浮かんでいるのに
肝心の俳優の名前が出てこなくなって、
そこで話が止まっちゃうんだよ…」
「え!! それは… ちょっと切ないな…
Tちゃんも遂にそんな事を言うようになったか…」
あの、高性能の人間インターネット、
「生けるウィキペディア」のTが
遂にそんな事を言い出したか、と軽い衝撃を受けた僕。
★ ★ ★
…というわけで、
今回はマニアの知識と記憶力と加齢の話です。
自分の周りには他にも知識派、データ派の人が何人かいて、
プロレスマニアだと対戦カードと会場、
試合日、結果などを膨大に記憶していたり、
美術史について相当造詣の深い人や、
ヨーロッパや南米のサッカーについてメチャメチャよく知っている人などなど…
みんな本当にいろんな事をよく覚えていて、
人それぞれの凄みを感じる事がよくあります。
だいたいマニアの話ってのは、話の前提をすっ飛ばして
いきなり深い所から全速力で話しはじめるのが普通なので、
記憶力が弱まって瞬発力が無くなってくると
マニア話の密度にも変化が出てくるのではないだろうか。
歳と共に情報の枝葉のディテールよりも
もっと本質的な話ができるようになると良いのだろうけど、
その手前のキーワードで詰まっていたら元も子もないしなぁ…。
いつかは、あのTちゃんも「立て板に水」という訳にはいかなくなって
「ペラペラと知識が出なくなったので第一線を退きます(泣)」ってこ
とに…?
いや、そこはなんとか鍛え直して現役を続行してほしいものだ…
なんて書いていると、インドアなマニアもマッチョなアスリートに見えてきたぞ。
★ ★ ★
ちなみにシメサバ、関西では「きずし」と言います。
あぁ、出てきてスッキリした。
この機会に、途中でほったらかしの脳トレを
最初からやり直した方がいいかもな…。
雑誌「Quanto」2010年2月号掲載 |